ひととあやかしが共に暮らすことができる、最後の聖域。四国・高知の山奥にある隠れ里。茂伸(ものべの)――「恐れ」が変質していく中、誰からも恐れられなくなり忘れ去らて、消えようとしていくあやかしたちが、逃れるように集ってくる土地。そんな移住者たちを、あるいは旅人たちを、そしてものべのへの帰還者たちを――村境の森の奥からじいっと見つめ、報告し――とくには自らが壁となり、侵入者を阻むあやかしがいます。その名を、ヤマネコ。かつては人の姿をとれず、人の言葉を話すこともできず、ニャアニャアと報告をしつづけるだけの存在であったヤマネコは、ものべのを襲った異変の解決にかかわったことにより大きな徳をつみ、人化の術を会得し、人の姿をとることができるようになりました。それでもやまねこの生活はほとんどかわりません。ごくごくわずかな親しいあやかしや人間と交流するとき以外は、じいっと森の奥深くから、村へと続く唯一の道。国道を見張り続けるのみです。そんなさなか、一人の旅人――あなた――が国道を外れ、森の奥へと迷い込みます。怪我したあなたを助けたヤマネコは、あなたを尋問するうち、あなたの目的――宝探し――にすっかり共鳴し、あなたとヤマネコ、ふたりだけの探検隊の隊員となります。豊かな自然の音にあふれたものべのの森の奥深くで、そこに隠された温泉の中で。どうぞヤマネコ――やこ――とふたりで、たくさんの素敵な音を、そうして癒やしを見つけ出していただけましたら幸いです。

イラストレーター : はすみ

シナリオ : 進行豹

あなたへのおすすめ作品