ひととあやかしが共に暮らすことができる、最後の聖域。四国・高知の山奥にある隠れ里。茂伸(ものべの)――「恐れ」が変質していく中、誰からも恐れられなくなり忘れ去らて、消えようとしていくあやかしたちが、逃れるように集ってくる土地。その移住の影には土地神である「ご開祖ちゃん」があやかしたちを招き入れ、定住を支援しているという事実があります。その招きに応じるか応じまいか悩みに悩んで動けなかった人吉・球磨のあやかし、雪御嬢のゆき。ゆきが弱り果て、動けなくなってしまう前になんとか――と、半ば無理やりゆきを引っ張り、ものべのへの移住の後押しをしたあやかしが、いんがめです。いんがめとは、犬神憑き。もともとは人間だった少女に、犬神という憑き物が押し付けられて――けれども長い長い時間の中で奇跡的に馴染み、誰にも望まれず誰にも意図されぬままに誕生してしまう、そんな不遇なあやかしです。ゆきにとってはかけがえのないお友達でも、人から見ればあやかしの一員、あやかしから見れば人の延長であるいんがめには、なかなかにこころをゆるせる仲間がおりません。いんがめが望んだとおり、ゆきはものべの移住によって窮地を脱し、新生活の基盤を気づくことに成功しますが――招かれざる客でしかないいんがめは、なかなか村に馴染めません。ゆきのアイスクリーム屋さんでバイトをしつつ、なんとか生活環境の改善をと頑張り続ける――そんなゆきの前に現れる存在が、あなたです。団体客をこなすため、問答無用で臨時バイトにくみいれられたあなたは、窮地をともにしたことにより、ほゆるの信頼を勝ち得ます。明るく元気で面倒見がよく――その反面、自分のことをおろそかにしてしまいがちなあぶなっかしいほゆるの、どうぞ背中を、そうっとその手で支えてあげていただけますと幸いです。

イラストレーター : はすみ

シナリオ : 進行豹