【耳かき・踏み踏み】あやかし郷愁譚 ~あかしゃぐま すみ~【蒸しタオル】

ひととあやかしが共に暮らすことができる、最後の聖域。四国、高知の山奥にある隠れ里。茂伸(ものべの)――あなたと、あなたの妻たる家守のあやかし、あかしゃぐまの「すみ」とは、次の春に迎える学園の少等部への入学を今から心待ちにする愛娘「えみ」を落ち着かせるのにてんやわんやの日々を送っています。そんな夫妻に気の効く隣人がプレゼントしてくれたのは、夫婦水入らずで丸一日を過ごせる時間。思いっきりに甘い時間を……という欲望よりも、娘可愛さが先にたち、あなたとすみはいそいそと、愛娘の入園準備の仕度を早くもはじめます。ミシンがけをして雑巾を、袋物を縫い、蒸気火熨斗――すちいむあいろん――で丁寧にシワを伸ばして。えみが泥まみれにしたズック靴を、ブラシでごしごし洗い落として。……夫婦で過ごす穏やかな時間の中の、娘への愛情によって生まれる音たちが奏でる、やさしいハーモニー。それはきっと、あなたを深く癒やしてそうして、穏やかな眠りへと導いてくれることでしょう。

イラストレーター : Cura

シナリオ : 進行豹