ひととあやかしが共に暮らすことができる、最後の聖域。四国、高知の山奥にある隠れ里。茂伸(ものべの)――今はものべのと呼ばれる土地が、ものべのと呼ばれるようになるさらに前、ずっとずうっと昔から。その土地を守り続ける神格――ものべのという土地の安全装置として機能すべく、根の国の永遠の黄昏の中で眠りたゆたいつづけることを運命(さだめ)られた存在――星辰大王の娘・星辰ひめみやという少女がいます。ひょんなことから『ご開祖ちゃん』という名を得。名を得ることにより器=体を得、自由に動けるようになったご開祖ちゃんは、ひとつの計画を動かしはじめます。その計画の中核部を任されたあなたは、見事に与えられた務めを果たしきり、ご開祖ちゃんからのご褒美となるひとときを過ごすこととなります。幼くして封じられた肉体相応にはしゃぐご開祖ちゃんとがんばる、氷割り、手水場洗い、雑巾がけといった神社掃除。あなたの奥深くに巣食ってしまった疲れを祓うための、梓弓・鈴神楽。ジェル状耳かきと響き鐘とを駆使し、鼓膜から魂までを震わせてくれるような、丹念な耳掃除。そうして訪れる添い寝の時間に――ご開祖ちゃんは、きっとあなたに――ずっと誰にも話せなかった、自分のことを、願いのことを、聞かせてくれることでしょう。ごくごく幼い少女の顔と、2000年もの永きに渡り一つの土地を見守り続けたカミとしての顔。両者の間をごく軽々と行き来するご開祖ちゃんとのかけがえのないひとときを――どうぞ、ご堪能いただけましたら幸いです。

イラストレーター : Cura

シナリオ : 進行豹